シャーク・リペラント |
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シャーク・リペラントとはシャーク・リペラント(Shark repellent)とは、敵対的買収の危機に陥る前から、あらかじめ定款に条項を加えて、買収企業から身を守る手法です。敵対的買収者をサメにたとえて、これを寄せ付けないような仕組みを作っておく予防策の総称になります。 シャーク・リペラントの例■授権資本枠の拡大 授権資本とは、会社が発行できる株式総数をいい定款に定められており、これを超えて株式を発行することはできません。この授権資本は、発行済株式総数の4倍まで拡大が可能ですので、この枠を広げておけば、株主総会の決議を経ることなく、取締役会で機動的に発行できる株式数が多くなります。 ■取締役の定数削減 取締役の定数は定款に定めることになっていますが、会社によっては上限を定めていない、あるいは現行の人数よりもはるかに多い定数を定めている場合があります。このように必要のない余分な枠がある場合、買収者からすぐにでも新任の取締役を送り込まれる危険性があります。 ■取締役の期差選任(スタッガード・ボード) 日本では、取締役の人気が1年または2年で、全員が一斉に任期を終える企業が多く有ります。(非公開会社は10年でも可)それゆえ、敵対的買収者が過半数の株式を取得して改選期の株主総会に臨めば、取締役全員を入れ替えてしまうことができてしまいます。 ただし、『取締役の期差選任』は、多くのアメリカの機関投資家が『株主が年1回、取締役を選任する権利を減らす』として、絶対反対の立場をとっています。 ■取締役の資格制限 取締役の資格制限条項を設けておき、買収者が取締役を選びにくくします。 ■絶対多数要件 取締役の解任や合併などを決議するとき、絶対多数の賛成がなければ可決できないようにしておく。 ■基準日の変更 議決権を行使できる株主を確定する基準日を取締役会の決議で変更できるようにしておきます。これにより基準日に敵対的買収者がにわかに登場してきたような場合、基準日を遅らせることができれば、その間に第三者割当増資を行うことが可能となります。 ただし、これらの条項は一つ間違えれば現経営者の自己保身ととらえられかねません。条項作りの際には、株主の理解を得られるようかどうかを常に念頭におく必要があります。 |
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