株主総会議事録の作成義務

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株主総会議事録の作成

株主総会議事録の作成要領

 株主総会は会社にとって重要な機関であり、どのような事項がどのような審議のものとに、そのように決議されたかを議事録として残すことが、法律上義務付けられています。議事録には、議事の経過の要領およびその結果を記載しなければなりませんが、その具体的内容については特に定められていません。
 しかし、議事録という文書の性質上、当然にまた慣行的に記載すべき事項は定まっていると言え、議事の経過の要領(議事の経過とは株主総会の開会から、閉会に至るまでの会議経過) や決議の結果(決議の結果とは、総会に付議された各議案に決議の結果) などを記載した議事録を作成します。

 ■議事録の作成義務者

 法的には、議事録の作成義務者を明記していないが、議長とする説と代表取締役とする説があります。
 これについては、総会議事録の備置きに関する義務が代表取締役にあること、議事録の不実記載に関する罰則が取締役を対象としていることなどから、代表取締役を作成義務者とする説が有力です。ただし実務的には、代表取締役が議長となる旨の定款の規定関係から、どちらにしても同じだと言えます。

 ■議事録の署名者

 会社法では、株主総会議事録に出席取締役が『署名・記名押印』しなければならないとは定められていません。
 しかし、定款において記名押印が必要であると定めることは差し支えありませんし、また多くの場合で、議長および出席した取締役が署名を行なっています。出席した取締役とは、取締役として総会に出席した者で、総会前に退任した者、総会後に取締役に就任した者ではありません。(開催中に取締役の地位にあった者。)

  ただし、署名の必要のない取締役が含まれていても、余事記載となり、議事録の効力には影響はありません。監査役についても同様に、署名してもそれは余事記載となり、議事録の効力には影響はありません。

 なお、取締役会議事録・監査役会議事録・委員会設置会社の委員会議事録などについては、出席取締役の署名または記名押印が必要であると定められています。

 ■議事録の形式

 形式については明文化されていませんが、一般的には袋綴じを行い綴り目にも契印し、改ざん防止を図るように作成します。このような方法にしない場合でも、法的には問題ありませんが、複数の紙片に及ぶ場合には、差し替えや改ざん防止のため、各紙片の綴り目ごとに契印することをおすすめします。
 契印については改ざん防止の観点から、署名義務者全員が押印する方が無難です。また、登記の申請書に添付する議事録も、原則として署名義務全員の契印を行なった物が求められます。

 ■議事録の記載事項

 議事録には、議事の経過の要領およびその結果を記載しなければなりませんが、その具体的内容については特に定められていません。しかし、議事録という文書の性質上、当然にまた慣行的に記載すべき事項は定まっていると言えます。

 一般的な記載事項例

  • 総会の名称
  • 会議開催の日時等(日時・場所・終結時刻)
  • 取締役・監査役等の出席状況
  • 総株主の議決権数・出席株主数等の状況
  • 議事の経過の要領(議事の経過とは株主総会の開会から、閉会に至るまでの会議経過)
  • 決議の結果(決議の結果とは、総会に付議された各議案に決議の結果)

 ■株主総会議事録の冒頭雛形

株主総会議事録

株主総会議事録の保存

 株式会社は、株主総会の日から株主総会議事録を本店に10年間、株主総会議事録の写しを支店に5年間、備え置かなければなりません。備置き義務者は代表取締役であり、備置きを怠ったときは、代表取締役は100万円以下の過料に処せられます。

 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも次にあげる請求をすることができます。

  • 株主総会議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面または当該書面の写しの閲覧または謄写の請求
  • 株主総会議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧または謄写の請求

変更登記

 総会において、取締役または監査役が選任または任期満了によって退任した場合や、商号変更や本店移転などで定款変更が必要な場合で、登記事項につき変更を要するときは、本店所在地において2週間以内、支店所在地においては3週間以内に変更の登記をしなければなりません。

 登記事項が、総会や取締役会の決議を要する場合は、申請書に当該議事録を添付しなければなりません。

株主総会議事録決議方法

 
株主総会議事録