事業計画の活用 |
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与えられた計画(達成意識の欠如)事業計画や経営計画の作成方法としてよくあるのが『すべてを一部の上層部のみで作成してしまう』若しくは、『外部の専門家に作成してもらう』というケースがあります。この様な場合社員は、事業計画について、『与えられた目標』という思いがあります。特に社長のみの考えで作られた計画ですと、目標数値が大きくなる場合が多く、社員は自分の考えとのギャップの大きさから計画内容を当初から『達成不能目標』のように感じ、達成意識が薄くなる可能性があります。 これは以前私が在職した公開準備会社でのことですが、新事業年度が始まる頃、証券会社から「今期は公開直前期になりますので、前期までのように予算に対する実績の達成率が60%・70%では予算策定能力に欠けると判断されますのでしっかりとした予算を組んで下さい」と言われました。私も入社してから既に半年程が経過していましたので、会社の現状を知る中で以前から「この達成率の予算では問題だ」と感じ、今期予算はもう少し確実性のある数字にしなければと思っていたのですが、、、、、。出て来た予算は、売上・利益が前期の倍以上という予算が作られていました。 この予算は社長がほぼ一人で作成したもので、私はその予算を見て「この予算数字は本当に達成可能なのでしょうか?」と尋ねると、社長は「今期新しい事業を始めるから売上が倍増するんだ」との事。「これから始める事業に対し、それほどの高い評価をしてもよいのだろうか?既存事業についても、今まで売上げが20%以上もUPしたことがないのに40%も見込んでいるが可能なのか?」など不安点が多くある予算でしたが、社長は予算を下げる気など全くありません。 しかし期が始まると、やはり1ヶ月後には前期同様、達成率は60%程度という月次結果が出て来ました。その後、予算未達の原因を各部長と個別に話しているうちに感じたのが「部長達は始めから達成意識がない」。各部長は「予算は社長に押し付けられた数値であり、あんな予算どう足掻いても達成など無理!(でも受け入れるしか仕方なかった)」と本音を洩らし、その現実から懸離れた予算は、部長の予算に対して「達成しよう」という意識を失わせてしまっているように感じられました。(数値が大きすぎて何をしようが無理と始めから諦めている) 自主性をベースにした計画事業計画は社長からのトップダウンと責任部署からのボトムアップの意見交換の積み重ねで作成をせず、どちらか一方のみの意見で作成した場合では、その計画は『お飾り』となり、更には個々のモチベーションを下げる要因となってしまう可能性があるので、事業計画は経営陣と実行現場の意見を汲み取り両者納得した計画としなければ、有効的に活用を行うことは難しくなります。 計画作成時には現場責任者(実行者)も参加し、意見を交わしたうえで現場の自主性をベースにした計画を策定すべきで、この計画作成に参加することが計画内容の理解・承諾に一番手っ取り早い方法であり、また作成時に自分の意見が含まれることで達成への責任(動議づけ効果)も高まります。誰でも一方的に与えられた目標では身が入り難いですが、作成に参加し自分の意見が含まれ納得した内容となれば、自分自身で言った手前達成への責任も自然に沸いてきます。 予算数値の日々の管理・実行は現場責任者ですからその内容を承知し、計画に対し達成意識をもっていなければ予算達成は困難ものとなってしまいます。 |
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