税引前当期純利益.特別損失

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税引前当期純利益分析

税引前当期純利益とは

 『経常利益+特別利益−特別損失』で求められます。『特別利益・特別損失』とは、非反復的・非経常的な取引から生じたもので、具体的には固定資産(建物・土地等)の売却損益や過年度の収益・費用の計上過不足による過年度損益修正などが挙げられます。従って『税引前当期純利益』には、当該年度にのみ発生した非経常的な取引である特別利益・特別損失を含んでいますが、これらは実際に発生している取引でありこれを含むことで、会社が当該会計年度(通常1年間)で獲得した利益を知ることができます。

特別損益の影響

 経常利益が少ないもしくは損失なのに税引前当期純利益が大きい場合があります。その場合、所有していた土地・建物・株式等を売却し売却益を得ていることが考えられます。これはあくまで非経常的な取引であり特殊事項なので、当期の利益と同じように来期も利益が出る可能性は少ないといえます。逆のケースもあり、経常利益は多いのに税引前当期純利益が少ないもしくは損失となってしまっている場合です。
 従って、特別損益項目に大きな額が発生している場合には、その取引内容を確認することも大切になります。

税引前当期純利益.特別損失

特別損失の内容に注意

 特別損益項目うち特別損失は、災害による損失・会計基準の変更などのその発生がやむを得ないものもありますが、固定資産や子会社株式の売却損などの場合には、その多くが当該企業の経営戦略の失敗によるものです。従って、特別損失が恒常的に発生している企業や企業規模に対し多額である場合は、経営陣の経営能力に問題がある可能性があります。なぜなら、優秀な経営陣は経営戦略に失敗したとしても、被害が拡大しない段階で経営戦略の変更などの手を打つからです。

まめ知識

 ■従業員の状況

 『企業は人なり』といわれるように、会社の将来性・成長性等を判断するには、人材に関する分析は欠かせませんが、これは決算書からはなかなか読み取れません。そこで有価証券報告書の『従業員の状況』や『事業等のリスク』等の情報を利用します。『従業員の状況』には、セグメント毎の従業員数・当該会社の従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与が記載され、過去と比較して従業員数の推移状況、同業他社や業界平均と比較して人件費の大きさ、平均勤続年数により離職率や熟練度合、平均年齢により新卒採用や高齢化状況などが読み取れます。

 一般に、勤続年数が長い会社は定着率がよく、採用コストが少なく、労使関係が円満だと推測されます。ただし、勤続年数が長過ぎたり年齢が高過ぎても問題で、適度の若返りが必要になります。これらの情報を数年分比較して、あまり変化していない状況が理想で、もしこれらが1年(歳)づつ増えていたならば若返りが成されておらず、組織の硬直化等の心配も出てきます。

 また『事業等のリスク』には、人材の確保育成について・特定の人物への依存について等が記載され、技術職の人材確保の難しさや確保できなかった場合の影響・採用担当部署の強化や教育研修の充実・短期雇用契約制度の採用による正社員の負担軽減・代表取締役等の特定の人物に依存していることへのリスクなど、人材に関する情報を得ることができます。ただし、これらは必ず記載されているとは限りません。

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