経常利益分析 |
|
経常利益とは経常利益は『営業利益+営業外収益−営業外費用』で求められます。『営業外収益・費用』とは主に財務・金融活動から生じたもので、具体的には『営業外収益』が受取利息や受取配当金等、『営業外費用』が支払利息・有価証券売却損等が挙げられます。営業外収益・費用は、会社本来の営業活動とは違いますが、営業活動には欠かせないものですので、営業外収益・費用までを含めた『経常利益』によって会社の正常な収益力を知ることができます。 総合的収益力による利益獲得効率経常利益を売上高に対する比率で算出します。これを『経常利益率』といいます。この比率が高いほど、総合的な収益力で得られる利益の効率が高いといえます。業種によっても異なりますが、目安として5〜6%以上であれば効率のよい会社といえます。 経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100 各利益の売上高に対する比率を算出する方法がありますが、企業の収益性を判断するのに経常利益率が一番重要だといえます。本来、営業活動における利益効率を判断するには『営業利益率』がよいのですが、我が国では資金を自己資本よりも他人資本(借入金)に頼る比率が高く(平均で自3:借7)支払利息の負担が大きくなっていますので、支払利息を含んでいる『経常利益率』ではないと本来の収益力は判断できないからです。 資金を効率よく使っているか(投資効率) 獲得した利益は損益計算書を見ればわかりますが、同じ利益を出している会社でも、資金1000で利益10を獲得している会社と資金100で利益を10を獲得している会社では、『投資効率』が違います。会社は少ない資金で大きな利益を獲得しているか、すなわち『効率的な経営をしているか』が重要になります。この判断基準となるのが、『総資本(資産)利益率:ROA』になります。分子の利益には営業利益・経常利益・当期純利益などが用いられますが、経常利益の場合、機械などの設備投資額が大きい製造業等で5%、設備投資額が少ない卸売業・小売業で10%は確保したい数値です。 総資本(総資産)利益率(%):ROA=経常利益(営業利益・当期純利益)÷総資本×100 上記の『総資本利益率:ROA』と同じ投資効率を判断する指標として、『自己資本利益率:ROE』があります。総資本利益率が手元資金を総資産として事業全体の観点から見た投資効率を示すものであるのに対して、自己資本利益率は手元資金を自己資金に限っていますので、株主の観点から見た投資効率を示すものだと言えます。分子の利益には経常利益・当期純利益などが用いられますが、一般には当期純利益が使われ、3%は確保したい数値です。 自己資本利益率(%):ROE=当期純利益÷自己資本×100 支払利息割引料からみた借入限度支払利息割引料から借入限度額の目安を算出する場合、以下の算式で算出することができます。この比率は高いほど、支払利息等を支払う余力があることを示し、通常値としては2〜5倍程度になります。これが1倍を切ってしまった場合は、特別利益で補う等しなければ赤字となってしまいますので、深刻な状態だと言えます。 インタレストカバレッジレシオ(倍)=(営業利益+受取利息配当金)÷支払利息割引料 支払利息から信用度をチェック金融機関からの借入や社債を発行する場合、一般的にその支払利息の利率は当該会社の信用度等に反比例し、信用度が高ければ利率は下がり、逆に信用度が低ければ利率は上がります。そこで、以下の算式により有利子負債の平均利率を算出し同業他社等の割合と比較することで、当該会社が金融機関等からどのように見られているかを判断することができます。ただし、現金主義で利息計上が行なわれていたり、借入が期末や期首に偏っている場合等には誤差が出てきますので注意が必要です。 有利子負債の平均利率=支払利息÷((期首有利子負債+期末有利子負債)÷2) 用語説明 ■総資本 『総資本』とは、総資産(貸借対照表の資産合計)もしくは負債+純資産(負債純資産合計)と同じです。 総資本(総資産)=負債+純資産 ■自己資本 『自己資本』とは、旧商法においては純資産の部(旧:資本の部)の合計金額でしたが、会社法の施行により内容が変わり、純資産から新株予約権と少数株主持分(連結の場合のみ)を差し引いた金額となります。ただし、分析する人の観点から定義が異なることもありますので注意が必要です。 自己資本=純資産−(新株予約権+少数株主持分) |
|