M&A.基本合意書

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基本合意書

基本合意書の作成

 M&Aではターゲット先をを選んだならば、まず『守秘義務契約』を結びます。これは、もしM&Aが不成立の場合でも、交渉過程で知り得た相手企業の情報を第三者に漏らさないという契約になります。売り手側の企業は、本来社外秘である財務情報や営業戦略等を買い手側に開示することになるので、この契約が必要となるのです。

 その後、買い手側が売り手側からさまざまな情報の提供を受けて、本当にその会社を買収したいか、買収して上手くやっていけそうかそうかを検討します。この初期的段階で、感触がよければ、買収価格やM&Aの形態など、諸条件の交渉に入ります。そして、これらの諸条件がほぼ合意に達した時点で、『基本合意書』の作成をおこないます。基本合意書を作成することで、それ以降の交渉をスムーズに進めて行くことが可能となるのです。

 こうした基本合意書を作成することは、両企業の意思を明確にし、お互いが最終合意に向け交渉を進めていくためだけでなく、最終的な契約書を作成するための基礎を提供する上でも重要な役割を果たすことになります。
 ただし基本合意書作成の時点では、まだ本決まりではなく、その語の交渉次第では、M&Aが不成立に終わることもあります。

基本合意書の記載事項

 基本合意書は、売り手側と買い手側の間で、最終契約に向けてどのような項目や事柄に留意しながら、交渉を進めて行くかを明確にするためのものであり、決まった形式はありません。
 一般的な項目としてあげられるのは、M&Aの実施方法・買収方法・独占的交渉権・実施スケジュールなどになります。ただし、非上場企業や中小企業の場合には、簡略化されたものが作成されることもあります。

 ■基本合意書に記載される一般的な事項

  • 実施方法(買収対象の範囲:一部or全部、支払方法:株式or現金 等)
  • 買収価格(最終決定ではない)
  • 独占的交渉権(交渉期間中の他社との交渉についての制約)
  • 実施スケジュール(成立までのおおまかな流れ 調査期間・最終契約時期 等)
  • 有効期限  など

法的拘束力

 基本合意書には、法律的な拘束力を持っているわけではなく、契約の成立を保証するものではありません。ただし、一方的に破れば訴訟に発展する可能性もあります。

 事実、2005年住友信託銀行がUFJホールディングスに対して『信託部門を売却する基本合意を一方的に破棄した』として、損害賠償訴訟を起こしています。UFJは、三菱東京ファイナンシャル・グループとの統合交渉に入るために、住信との基本合意を破棄したのです。
 この判決では、基本合意には最終契約を結ぶ義務はないとして、賠償請求が棄却されましたが、独占交渉義務違反による損害賠償を支払う義務はあるともされました。

 こうした事例から、基本合意書を作成する上で、記載事項に違反した場合の対応についても、明確にする必要があるといえます。当該裁判ににおいては、基本合意書に記載した事項に違反したことで生じる、制裁や罰則について明記されていないことが指摘されています。
 しかしその一方で、過度に細かい記載は相手の印象を悪くしかねないことにも留意が必要となります。

M&A.基本合意書ターゲットとの交渉

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