株主総会のIT化(電磁的方法)の採用

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株主総会のIT化

株主総会にIT導入

 パソコンの普及やインターネット等の情報網の発達に伴い、IT化による会社運営の効率性を図ること目的に、平成13年に旧商法の改正によって、株主総会にIT技術を利用することが認められました。
 具体的には、株主総会の招集通知を書面に代えて電磁的方法により行なう(電子メール等)ことや、株主総会に出席できない株主に対し、電磁的方法によって議決権行使(電子投票制度)の機会を与える事が可能となりました。

招集通知の電子化

 株主総会の招集通知を書面に代えて、電磁的方法により行なうには、株主の承諾が必要になります。
 この電磁的方法の具体的な種類としては、電子メール・ウェブサイトの利用・CD-ROM等の交付になります。このうち実務上、効率性・現実的利用性の観点から、電子メールによる送信が一般的に採用されます。

 ■株主の承諾

 会社として、電磁的方法による招集通知の発信を採用した場合でも、株主の承諾を得られなければ、実施に移すことはできません。承諾を得ていない株主には従来通り、書面による招集通知を発信する必要があります。(書面と電磁的方法の両建てとなります)
 会社は、承諾を総会ごとに得る必要はなく、いったん承諾を得れば、継続的に電磁的方法を採用することができます。また、株主はいつでもそれを撤回することもできます。

 ■添付書類

 招集通知を電磁的方法により受けることを承諾している株主には、参考書類(計算書類・監査報告書謄本等)を提供することができます。
 実務上の方法としては、招集通知を電子メールで送信する際に、参考書類が掲載されたウェブサイトへのリンク先(URL)を記載し、クリックすることによりインターネットで閲覧する方法となります。(メールにファイルを添付した場合、ウィルス流布やデータ量大きさによる処理能力の問題があるので)
 なお、株主からの請求があった場合、参考書類を書面で交付しなければなりません。

議決権行使の電子化

  株主の議決権行使についても取締役会の決議をもって、電磁的方法による議決権行使(電子投票制度)を採用することができるようになりました。なお、この採用の取締役会決議は、対象となる株主総会を特定していない限り、株主総会の都度決議する必要はありません。

 ■電子投票の方法

 書面による株主本人の確認の際は、株主の氏名・住所・所有株数・届出印鑑により行なえますが、電磁的方法による場合、これに代わり、IDとパスワードを用いて、議決権行使サイトにアクセスし行なうことになります。
 なお、この場合事前に株主の承諾は必要なく、電子投票を行なうかどうかは株主が総会ごとに選択できることになります。

 電子的方法を採用した場合、議決権行使書を受領した株主の行使方法には、郵送による行使・インターネットによる行使・株主総会出席による行使の3種類あり、このうち株主が自由に選択することになります。

 ■二重行使

 電子的方法を採用した場合、株主が議決権行使をする際に、郵送による行使とインターネットによる行使の両方を二重に行使する可能性があります。
 この場合、どちらかを優先させるかが問題となりますが、原則としては後に行使された方法が有効となります。また、到着時期にかかわらず『電子的方法を有効とする』方法もあり、どのような取扱いをするかを事前に決めておく必要があります。 

決算広告

 株式会社は、定時株主総会の終了後に遅滞なく、貸借対照表(大会社は貸借対照表と損益計算書)を公告しなければなりません。(会社法440条1項) この公示を怠ると、100万円以下の過料に処せられます。

 これについても、会社のウェブサイトに掲載するといった、電磁的方法を採用することが可能となりました。

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