株主総会開催前の注意ポイント

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ポイント開催前編

会場準備

 ■マイクの利用

 マイクを利用する場合、『固定方法(スタンド)』と『手渡し方法(ハンドタイプ)』がありますが、通常『固定方法』になります。『手渡し方法』ですと自由にマイクを移動できることになり、総会屋などがマイクを持ったまま議長に迫ったり、マイクを離さず延々と話し続けるなどのトラブルになることも考えられます。
 また、この様な場合に備えて、遠隔操作でマイクのスイッチの切り替えができるようにするのもよい。

 ■答弁席を設ける

 可能であるなら答弁席を設けるとよいです。移動する間に回答を整理したり、事務局に立ち寄ることができるからです。

 ■マスコミへの公開

 株主総会は、本来、株主や会社関係者のみによって行なわれるべきであり、いたずらに公開してしまっては、株主へのプライバシーの問題や発言抑制となりかねません。
 公開の是非は議長の権限となりますが、公開にあたっては総会で承認を得るのが無難な取扱いとなります。

 ■第二会場

 総会会場は、出席が見込まれる株主を収容し切れるキャパシティを持っていなければなりません。ある判例では『20%前後の者が議決権を行使できなかった瑕疵は重大である』と理由を述べて、決議取消になるとしています。
 出席者数の予想は困難なことではありますが、過去のデータを参考にするなどして、かなり余裕を見込んで会場を選ぶのが無難です。

 総会直前に、世間の注目を集めた問題等が発覚した場合などは、出席者数の予想がたいへん難しくなりますが、収容し切れない場合に備えて、『第二会場』を準備すると安心です。
 第二会場が適法であると認められるためには、『一つの会場で審議しているのと同じ状態』を作り出す必要があります。そのためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 第二会場にいる株主が、第一会場の音と映像とをモニターテレビやスピーカーなどで、受け取ることができること
  • 第二会場の株主が発言を求めて挙手したときは、直ちに第一会場に連絡され、株主が第一会場に移動して発言できる態勢になっている、または第二会場にいる株主がそのまま発言しても、その音と映像とが第一会場に送られる態勢になっている。

決算発表

 上場会社の場合、各証券取引所の要請により決算発表を行ないます。これらは、決算短信・連結決算短信を配布した上で記者発表として行われます。発表する内容は、計算書類のほかに総会の議題でもある役員人事・定款変更など、更に次期の業績予想も含まれます。

 しかしながら、この情報開示は証券取引所の要請で行なわれるものであって、会社法の規定によるものではありません。例えば『次期の業績予想』などは、会社法の規定にはありません。
 総会担当者は、この区別をはっきり意識しておくことが必要です。というのは、役員の中には『決算発表』の印象が強く残っていて、総会の説明義務の範囲を決算発表の範囲と混同する人が多いからです。

株主総会開催中株主総会.会場準備

 
株主総会.会場準備