固定資産分析 |
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固定資産とは固定資産(建物・機械設備等)の購入は企業成長には欠かせないものですが、売上規模に比べて大きすぎるのも問題ですし、逆に少なすぎるのも問題になります。また、固定資産の購入金額は多額になり、購入に際しては資本金や蓄積された利益の範囲内で購入することが一番望ましいですが、なかなかそうもいかず、実際は銀行からの借入に頼らざるを得ない場合もあります。その場合、借入金が短期返済のものでは、長期的に利益に貢献して行く固定資産とのバランスを欠き、資金繰りが悪化する恐れがあります。 固定資産のチェックポイントとしては、過度な設備投資を行なっていないか、購入資金は長期性資金で賄われているかなどになります。 長期的な支払能力を見る上記のように、長期的に利益を生み出して行く固定資産に対する資金を短期的な資金(短期借入金)で賄っていては、資金繰りが悪化してしまいます。そこで、長期的な資産が長期的な資金で賄われているかを判断する指標として『固定比率』があります。 固定比率(%)=固定資産÷株主資本×100 固定比率は100%以下が望ましいですが、株主資本が小さい中小企業ではなかなか難しいので、せめて120%以下にはしたいところです。また、分母の株主資本に固定負債を加えた『固定長期適合率』という指標がありますが、この指標で100%を超えている場合には、健全な財政状態とはいえません。 固定長期適合率(%)=固定資産÷(株主資本+固定負債)×100 簿価は実勢価格をあらわしていない貸借対照表に記載されている金額は、これまで取得原価主義とってい、当該資産を取得した時の金額になっていました。近年、有価証券などは時価により記載されるようになりましたが、土地や子会社株式などは今でも取得原価で記載されています。従って社歴の長い会社では、数十年前の取得原価のままで時価と比べてかなり安い金額となっている場合があります。 2005年の村上ファンドによる阪神電鉄の買収は、阪神電鉄が所有する甲子園の土地が簿価800万円、梅田の一等地にある阪神百貨店も簿価900万円で、簿価と時価の差額として500億円の含み益があることに着目し、これが株価に反映されていないなどが理由とされています。 まめ知識 ■決算書から未来を読む 決算書に書かれている数値は過去の実績数値になります。投資家・債権者・得意先等にとっては、過去の実績も重要ですが、株式を購入・資金貸付・大口取引を行なった後に、当該企業の経営が悪化してしまっては困りますので、企業が将来どうなるかを見抜くことは更に重要になります。とは言え、決算書から企業の将来を見抜くことは容易ではありません。しかし、有価証券報告書等には貸借対照表や損益計算書だけでなく、多くの情報が記載されていますので、それらの中からある程度企業の将来を読み取ることができます。 先ず、企業側が企業の将来の業績を予想し公表しているものとしては、決算短信での『業績予想』があります。これは経営者自身の業績予想になり、通常決算末日から1〜2ヶ月後(決算発表の1〜2ヶ月前)に公表されます。その内容としては、売上高・経常利益・当期純利益になります。 有価証券報告書にある『事業の状況』の『事業等のリスク』からも、企業の将来を読み取れる情報が多くあります。その内容としては、経営方針等に係るもの(外部環境の動向・合併等)、財政状態及び経営成績に係るもの(競合・競争激化について等)、特定の製品・技術等に係るもの(特定の製品商品への依存・設備投資について・技術革新について等)などがあります。 有価証券報告書にある『事業の状況』の『研究開発活動』では、最近会計年度等における研究開発活動の状況(研究の目的・主要課題・研究成果・研究体制等)及び研究開発費の金額が、事業の種類別セグメントに関連付けられて記載されていますので、どの事業の課題等にどの程度力を入れているかを知ることができ、将来の方向性や可能性を見ることができます。 有価証券報告書にある『設備の状況』の『設備の新設・除去等の計画』には、最近日現在において、重要な設備の新設・拡充・改修・除却・売却等の計画がある場合には、その内容(事業所名・所在地・設備の内容・投資予定金額・資金調達方法・着手及び完了予定年月・完成後における増加能力等)が、事業の種類別セグメントに関連付けられて記載されていますので、企業が将来に向けてどのような設備投資計画を予定しているのかがわかります。 |
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