特別利害関係者整備 |
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特別利害関係者との取引整備の必要性 上場審査では特別利害関係者との取引は重要なポイントであり、オーナー会社(プライベートカンパニー)でよく見られる社長貸付金などの取引を原則として解消しておく必要があります。 公開会社では、オーナー会社で見られたような個人財産と会社財産を混同するような取引は認められません。社会的公器としての会社になるためには公私混同を改めることが絶対的な条件となり、個人財産と会社財産とを明確に分ける必要がありますので、これらを公開準備作業の期間に早めに着手しなければなりません。 ただし、特別利害関係者とのすべての取引の解消が無条件で求められるわけではなく、その合理性や必要が認められ適切な情報開示がされるならば容認されるケースもあります。なお、取締役等との競合取引や利益相反取引については会社法においても規制されており、これらの取引を行なうには取締役会の承認が必要となりますが、この承認がないケースや規制そのものを知らないケースも多々ありますので注意が必要です。 株式公開会社では、企業経営の健全性とその維持が常に求められることになりますので、オーナー会社の社長や役員等は「私的企業から公開企業へ」という意識をしっかり持つ必要があります。 特別利害関係者取引の整備■不動産賃貸借 申請会社と特別利害関係者との間で、不動産の賃貸借取引が行なわれている場合は、原則的に買取や代替物件等によりその関係を解消することが求められますが、取引条件が適正な相場に基づく・代替できる物件が無いなどの理由から、取引の継続が認められるケースもあります。 ■金銭の賃借 申請会社と特別利害関係者との間で、金銭の賃借取引(借入金・貸付金等)が行なわれている場合は、解消することが求められます。その理由としては、貸付金は特別利害関係者がその立場により行なったものであり、合理的な理由があるとは言えず、更に申請会社が不利益を被る可能性があるからです。また、申請会社にとって有利な条件(低金利・無利息)による借入金についても、オーナー企業経営からの脱却という側面から解消が必要になります。 ■債務保証 申請会社の債務に対し、特別利害関係者がその保証人となっている場合には、原則的に解消が求められます。継続経営を前提とする会社が、個人に依存することは望ましくないという考えであり、またオーナー企業経営からの脱却という側面によります。債権者等に解消を求める際には、上場承認を条件に解消に応じてもらうケースが一般的になります。また、解消が困難な場合には財務諸表への注記等が必要になります。 ■役員兼務 申請会社の常勤役員は、原則として資本下位会社に当る会社の役員および他社の非常勤役員以外の役員を兼務していないことが求められます。ただし、人材不足・能力などの理由から兼務が認められるケースも多々あります。 |
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