関係会社整備.取引

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関係会社整備

関係会社の整備

 上場審査においては、関係会社を利用した利得行為や利益操作の可能性を排除することを主眼としているので、基本的には関係会社はないほうがよいと考えています。 しかしながら、経営戦略や賃金体系・勤務体制などの理由により、分社せざるを得ない場合もありますので、上場審査では、これらすべてに対し整理や合併を求めている訳ではなく、その合理性や必要が認められ適切な情報開示がされるならば容認されるケースもあります。
 ただし、これらの妥当性を将来に渡って証明することは難しくなりますので、基本的には上場前に解消する方向で整備する必要があります。

整備が求められるケース

 以下のような子会社を有している場合は、出資比率の改善や合併・整理などが求められることがあります。

  • 実質的に活動を行なっていない会社
  • 同業種の会社
  • 赤字会社
  • 経営者の持分比率が高い会社

関係会社存続の合理的な理由

 前述したように、関係会社の存続には合理的な理由が必要になりますが、同族会社で一般によく見受けられる部門損益の明確や節税対策では認められません。
 合理的理由とは、例えば以下の理由をいいます。

  • 賃金体系・勤務体制等が異なり、労務対策上必要
  • 他社との合弁会社として経営
  • 官公庁の許認可等の関連
  • 異業種や販売形態が大きく異なる新製品の投入 など

関係会社との取引

  関係会社との取引は、申請会社がその支配力によって第三者との間では、通常できない条件での取引によって、利益操作を行なう可能性があるため厳しく審査されます。これは関係会社との取引は、連結財務諸表上は相殺され消去されますが配当資源はあくまで申請会社の収益ですので、恣意的操作により関係会社に利益が留保され、申請会社の株主に還元されない余地があるためです。

  ■関係会社との取引に関してチェックされる事項

  • 取引に経済的合理性や必然性があるか
  • 適切な情報開示が可能か
  • 内容は第三者取引と同一条件か
  • 契約書等により取引条件が明文化されているか など

  ■整備方法

  • 恣意的操作が疑われる取引がある場合は株式の買取または処分、合併
  • 取引に相当の理由がある場合以外、取引の原則禁止
  • 取引を行なう際に、取締役会の承認を得て財務諸表などに記載 など

役員兼務と報酬

 未公開企業では、関係会社の代表取締役との兼任はしばしば見受けられますが、公開申請会社の場合は『経営の健全性・事業への専念』という観点から、原則として関係会社の代表取締役に関して、解消が求められます。
 上記については、役員全般についても言えることですが、人材不足・能力等の理由により認められる場合もあります。ただし、この場合には原則として報酬を2ヶ所以上から受け取るべきではなく、役員報酬や賞与は申請会社のみから受け取るなどの配慮が必要になります。 

関係会社整備の時期

 関係会社整備には資本関係や人的関係の見直しが必要になります。
 資本関係についてはグループ全体に係わる可能性がありますので、資本政策立案にもその考慮が必要になります。資本関係整備は社外の出資を受けた後では、整備一つを実施するのにも出資者の合意が必要になり、その手続きが複雑・困難になってしまいますので、整備は早期の内にできるだけ社内関係者のみの株主構成である段階で、行うことが理想です。

その他の注意点

  • 関係会社の配当方針(特に申請会社と取引割合が大きい場合)
  • ディスクローズへの対応
  • 関係会社管理規程の作成 など

資本的.人的関係会社具体例

特別利害関係者とは関係会社.利害関係者

 
関係会社.利害関係者