決議を取り消す訴え

　企業にとって、株主総会決議の『決議取消』は、何としても避けなければならない事態ですが、万が一間違いがあった場合に備えて、会社法では総会決議の瑕疵を争う方法として『決議取消しの訴え』『決議無効確認の訴え』『決議不存在確認の訴え』の3種類の訴えが、定められています。

　■決議取消しの訴え

　招集手続きや決議の方法が法令・定款に違反し、または著しく不公正な場合や、決議の内容が定款に違反している場合などに、決議の取消しを求めて起こす訴えです。
　なお裁判所は、決議取消しの訴えが提起された場合でも、『その違反事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認められる』ときには、請求を棄却することができ、これを『裁量棄却』といいます。

　■決議無効確認の訴え

　決議の内容が法令に違反する場合に提起できる訴えです。

　■決議不存在確認の訴え

　株主総会が開催されていない場合が、一応開催されたが手続上の瑕疵が著しく、決議があったとは言えない場合に起こす訴えです。

　このうち、『決議無効確認』と『決議不存在確認』は、裁判以外でも主張することは可能ですが、『決議取消し』は、裁判で勝訴しない限り主張できません。会社は取引社会で活動しており、取引の相手方との間で混乱をきたさないようにするために、このようなしくみをとっています。

　■株主総会決議に関する訴え