執行役と執行役員の概要

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執行役員制度

執行役員(制度)とは

 『執行役』と『執行役員』とは、全くの別物で、執行役員には、執行役と異なり、会社法で認められたものではありません。
 執行役員制度は、旧商法時代から、経営の意思決定の迅速化・意思決定機能と執行機能の分離および執行責任の明確化、戦略経営の強化などを目的として、また、増え過ぎた取締役の一部を退任させ適正規模とするため退任した取締役の役職として、多くの企業で採用されてきました。

 ■身分

 執行役員は、経営における業務執行を担う点においては取締役と同じですが、任意制度であるため、その身分は会社によっても異なり、その身分の違いをいちがいに述べることはできず、一応、会社との法律関係としては、『雇用型』と『委任型』および『混同型』があるとされています。

 執行役員は、会社法上の取締役ではありませんので、代表訴訟の対象にはなりませんし、登記の対象ともなりません。

 ■導入方法

 『執行役員制度』は、会社法においては特段定めがありませんので、そのため通常の会社では、執行役員の待遇を決め必要な諸規程を整備すれば、導入できると考えられています。

 『執行役員制度』の導入において、決めるべき事項は次のようなものがあります。

  • 執行役員制度の導入の目的・・・執行役員の定義や契約の基本的性質 等
  • 執行役員制度の形態・・・人数・取締役との兼務の有無
  • 執行役員の職務分担
  • 執行役員の待遇・・・給与・退職金・任期・従業員退職金との調整の有無、方法 等
  • 執行役員制度導入に必要な規程の整備

 『執行役員制度』の導入に際し、定款に入れ込む義務はありませんが、執行役員制度がいまた会社法上認められた制度ではないことから、せめて株主から承認を得て、お墨付きをもらっておくことは、株主権保護の見地からしても合理的だと考えられ、現にそのようにしている会社もあります。

 ■留意点

 執行役員制度を導入する場合、取締役会の決定機能はどこまでなのかを改めて確認しておく必要があります。線引きがあいまいでは、執行役員の裁量権がずるずると広がってしまい、ガバナンスが無力化してしまいますので、取締役会規程を見直し、その線引きの明確化を図らなければなりません。

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