取得議決権割合 |
||||
議決権割合に応じ権利が異なる物品を購入するには売買契約を結び所有権を移転すればよく、人を雇用するには雇用契約を引き継いだり再契約を結べばよいのですが、ビジネスと言う「人・物・金」の集合体を売買の目的とするM&Aは少々複雑になります。買収の場合、すべての株式を取得しなくても一定割合以上の株式取得により、保有する株式の割合に応じた議決権を手に入れられるのです。 株式会社経営に関する意思決定は、日常業務の大部分を代表取締役に委ねられ、重要業務執行行為については取締役会決議となります。従って会社経営の支配権を得るには取締役の過半数を自分の味方にすればよいのです。そしてその取締役は株主総会により多数決で選任されますので、結果会社経営の支配権獲得の為には『議決権で50%超(過半数)の議決権を得』ればよく、M&Aはこの議決権を得るため株式を取得することが第一となります。 株式を持ち議決権の過半数を得れば会社の支配権を得られますが、この議決権とは発行済株式の過半数とは異なります。例えば『優先株』や『自社株』には通常議決権はありません。また、A社がB社の1/4以上保有している場合B社が持っているA社株の議決権を行使できません。(相互保有株式) ライブドアがニッポン放送株を取得する事でニッポン放送が保有するフジテレビ株の議決権取得に動いたとき、フジテレビはTOB(公開買付)によりニッポン放送株の1/4以上取得を目指したのは、この相互保有株式によりニッポン放送が取得するフジテレビ株の議決権を無効にするためです。 このように会社の支配権を得るには単に発行済株式の過半数を得るのではなく、議決権の過半数を得る必要があります。 更に、株主総会は株式会社の最高機関としての権限が与えられているが、一部の重要事項について『特別決議』(例:定款変更・営業譲渡等)として、出席株主の議決権2/3以上の賛成が必要になりますので、議決権の2/3以上まで取得すれば会社のあらゆる決定事項について支配が可能になります。
|
||||