人事労務管理制度

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人事労務

人事労務管理制度に係わる公開審査

 企業運営において人材は欠かす事の出来ない資源であり、人材の獲得と共にその定着は企業にとって大きな課題の一つです。人事労務管理制度に係わる上場審査としては、公開会社として継続性・安定性・成長性から判断し、これらが十分確保されているかどうかが審査対象とされます。

従業員の定着率

 従業員の定着率が悪い場合、一般的に人材の安定性という観点からは問題であり、公開審査においては『経営基盤が不安定』とういう判断からマイナス要因になります。特に管理部門や開発部門また、経営上重要な役職者などが頻繁に離職するケースは、会社の継続性にも係わりますので審査も厳しくなります。
 定着率が悪い場合は、退職理由の原因分析等を行い人事労務管理制度の見直しや改善を図り、定着率の向上に努める必要があります。 また、業種・業態により定着率が悪くなる傾向がある場合には、その特性を合理的に説明できるようにしておくことも必要です。

関連法令の遵守

 リーガルチェックは公開審査において強化されており、人事労務管理に関する法令(労働基準法・社会保険加入等)の遵守もチェックされます。
 一般的によく問題とされるのは以下の3点ですが、私の経験ではこのうちの1〜2は必ず当てはまり、全て当てはまったこともありました。これらは会社によっては、後々株式公開に向け大きな障害となりますので、早期に解決策を講じる必要があります。

 ■人事関係書類の不備

 常時10名以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければなりません。また、就業規則を作成・変更する場合には、三つの手続が必要になります。

  • 従業員代表の意見聴取。
  • 労働基準監督署長への届出。届出は就業規則のほか、就業規則届に、従業員の過半数で組織された労働組合、または従業員の過半数を代表する者の意見書を添える。
  • 従業員への周知。労働基準法では、絶対的記載事項(始業終業時刻・休憩時間・休日・休暇等)を作業場の見やすい場所に掲示したり、備え付ける等の方法で、従業員に周知させなければならないものとしています。

 ほとんどの公開準備会社では、10人以上の労働者を常時使用していますので、届出が必要であるにもかかわらず、上記の届出がされていない若しくは変更の届出がされていないケース。

 ■時間外労働に対する支払

 労働時間は1週間で40時間、1日で8時間を超えてはいけない(変形労働時間を除く)とされていますが、労働組合(無い時は、労働者の過半数を代表する者)と残業および休日労働に関する協定を結んで、その旨を労働基準監督署に届ければ、1日8時間を超えて残業しまた休日労働ができるとされています。(いわゆる36協定) そして、この労働に対しては割り増し賃金の支払い義務が発生し(労基37)、会社はその割増賃金を労働者に支払う必要があります。
 この残業手当が支払われていない、若しくは支払ルールが明確にされていないなどのケース。

 ■労働保険・社会保険の未加入

 一定の要件を満てしている従業員は、労働保険や社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する義務があり、会社は対象者全員の加入を維持継続することが求められます。
 労働者が急激に増加している・アルバイトやパートタイマーの割合が多い・従業員の入社、退社が頻繁などの会社で多々見受けられるのが、この労働保険や社会保険の未加入者が存在するケース。

参考:【株式上場実務Navi】IPO専門家が語る[人事労務制度]

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