株券電子化に対する上場企業の対応

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上場企業の対応

特別口座に関する公告

 発行会社は、株券の電子化実施期日の1ヶ月前までに、『特別口座』に関する公告を行う必要があります。

 ■公告事項

1)証券保管振替機構(ほふり)に、株券を預託していない株主について、特別口座の開設・記録を行うために必要な通知を『ほふり』に行う旨

2)特別口座を開設する金融機関名・住所(特別口座は、株主ではなく会社側が選定する)

 ■公告方法

1)官報に掲載する方法

2)時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

3)電子公告(インターネット上のホームページを活用する方法)

※それぞれの会社が定める株主や債権者等に向けて、重要なお知らせを発表・周知する方法に従う。

みなし定款変更

 上場会社は、『株券の電子化』の実施期日に株券の不発行制度が一斉に導入されますが、本来、株券の不発行には、株主総会を開催し『株券を発行するものとする』という定款規定を削除するなどの決議が必要となります。

 しかしながら、株券電子化の一斉移行日において、発行会社は、同日を効力発生日とする株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の決議をしたものとみなされることとなります。(株式等決済合理化法附則6条@)
 つまり、『みなし定款変更』によって、会社法条も、株券不発行制度にいこうしたものとして取扱われのです。

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実質株主通知の受領と株主名簿の変更

 現行の『ほふり』制度の下では、預託した株主の名義は株主名簿上『ほふり』名義となっています。そのため、議決や配当などの基準日ごとに『実質株主通知』というものが行われます。
 これは『ほふり』名義となっている株式の本当の所有者が誰であるかを、発行会社に伝達する制度です。発行会社では、この実質株主通知に基づいて、実質株主名簿を作成し『ほふり』名義株式の本当の所有者を把握しています。

 株券電子化後の新しい株式振替制度の下では、全ての株主データは『ほふり』のデータベースで管理されることとなりますので、従来のように『ほふり』に預託されている株券について、実質株主名簿を作成して管理する必要性はなくなります。

 これを受けて、新制度では、実質株主名簿制度自体が廃止されます。その結果、株券電子化で新制度に移行することに伴い、旧制度の下での株主名簿と実質株主名簿を照合し、一体化する作業が必要となります。

 具体的には、一斉移行日の前日が、旧制度に基づく最後の実質株主の確定基準日ということになります。『ほふり』では、その時点で『ほふり』に株券を預託している株主を確定した上で、旧制度に基づく最後の実質株主通知が行われることとなります。(株式等決済合理化法附則6AB)

 発行会社では、受領した最後の実質株主通知に基づいて、『ほふり』名義となっている株式について、本来の株主の名義に変更することとなります。これによって、従来の株主名簿と実質株主名簿が一本化されることになります。

特別口座の開設と記録

 上記の手続きを行なったうえで、発行会社は最終的に『ほふり』に株券を預託しなかった株主等(通知対象株主等)を割り出し、それらの株主等の権利を保全するための特別口座の開設・記録手続きを行ないます。

『ほふり』への預託促進

 『ほふり』に株券の預託を行なわなかった株主等の権利保全(特別口座の開設・管理)は、発行会社が行なうこととされますので、基本的にこれらのコストは会社側が負担することになります。
 従って、現物所有する小口株主や単元未満株主を多く抱える場合には、負担コストも大きくなってしまいます。コスト負担を抑えるためには、事前に株主等への周知等を行い、『ほふり』への株券の預託を進めることが必要となります。

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