株式公開(上場)の費用・手数料

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株式公開費用

費用負担は株式公開(上場)の最大のデメリット

 株式公開には多額の費用が掛かり、公開後についても様々な費用が発生します。
 私が以前在籍していた会社で、前期、前々期と1〜2億円程度の利益を出し株式公開準備を進めたところ、監査法人・証券会社・印刷会社・外部コンサル・人員増等の費用が発生、更に厚生年金未加入者が多かったので原則的に全員加入、残業代未払から支給へ等、経費が莫大に膨らんでしまいました。結果、業績が落ち込んだことも重なり赤字へと転落してしまい、株式公開どころではなくなってしまいました。
 株式公開費用は最大のデメリットとも言えますので、株式公開の意思決定には欠かせない要因になります。

主な株式公開費用

上場審査・手数料 500万〜1,500万円
年間上場料 50万〜200万円
株券・有価証券届出書・目論見書・IR等印刷 1,000〜2,000万円
証券事務代行費用 400万円程度
会計監査費用(監査報酬) 600万〜1,500万円/年
証券会社コンサルティング 500万円程度/年
外部コンサルタント(委託範囲で幅がある) 100万円〜1,000万円/年

合計5,000万〜12,000万円程度

 この他にも人員増強(2〜5人)・備品購入・家賃料・公告費用等、更に公開延期等により公開準備期間が伸びればそれだけ負担も大きくなります。また日本版SOX法の施行に伴い、現在は更に監査法人や外部コンサルタントの費用等(2,000〜5,000万円程度)が上乗せされます。
 株式公開では、これらの費用を負担してもなお、成長し続けるような事業計画(戦略)が必要となってきます。

 例えば株式公開費用5,000万円、企業成長として利益を5,000万円アップする事業計画を作成し、その粗利益率(売上総利益÷売上高)が30%だとしたら、売上高を3.5億円≒(5,000+5,000)÷0.3も増加しなければならないのです。売上高をアップさせるために、広告宣伝費・営業人員等を増やすとなれば更に売上高を増加させなければなりませんので、4・5億となってきます。これは中小規模の会社には、かなりの負担となってきます。

参考:【株式上場実務Navi】IPO専門家が語る[上場コスト]

引受手数料

 株式公開をした場合、引受証券会社に対し引受手数料を支払わなければなりません。
 引受手数料は『公募価格×株式数×手数料率』で算出されます。手数料率は一般に『5.5%〜7%程度』といわれています。
 例えば、公募価格が300,000円で株式数が5,000株の場合『15億円(300,000円×5,000株)』が会社に入ってくるのではなく、ここから引受手数料が引かれた金額、例えば『13,950万円(15億×0.93)』が会社に入金されます。この手数料率は一般に、調達資金が多きければ下がり小さければ上ります。

公開維持費用

 株式公開を実現しても、それを維持するためには多くのコストがかかります。

1)コーポレートガバナンス(企業統治)

 株主総会を準備し開催し、乗り切るというのは大きなコストがかかりますし、経営陣にとっては精神面でも大きな負担になります。
 また、近年株主重視の経営が求められるようになり新たに設けられた制度、委員会設置会社・社外取締役を選択するならば、更なるコスト高は免れません。

2)デスクロージャー

 財務・経営内容の開示を適切に行なうには、その開示書類作成に大勢のスタッフが必要であり、更に監査法人への報酬・決算書を期日までに仕上げ記者会見やアナリスト説明が必要になります。
 また近年、四半期決算が求められるようになり、それに伴うコストもかかります。

3)コンプライアンス

 公開企業が万が一不祥事を起こした場合には、信用の失墜と株価の暴落を招き経営に多大なる損失を被る結果となります。
 近年企業の不祥事が頻発しておりますが、この抑制にはコンプライアンス(法令遵守)は欠かせず、内部管理体制強化にかかる費用を惜しむ事はできません。

 上記の他にも上場継続には、証券取引所の上場料、株主総会運営や株主名簿管理の委託料などが必要となり、規模の小さい中堅企業でも年間5,000万円から1億円はかかるとされ、更に2008年4月以降内部統制報告制度(日本版SOX法)が義務付けられ、監査報酬や人件費の負担が更に増すことになります。

費用・手数料メリット・デメリット

費用・手数料