公開価格.ブックビルディング

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公開価格の決定

公開価格決定の流れ

 企業が公募により市場で株式を発行し投資家から資金を調達したり、既に発行されオーナー等が所有している株式を上場の直前に売り出す場合において、その時に付ける一株あたりの『値段』を公開価格(公募価格)といいます。公募価格の値段については、既に上場している企業であればその時の市場での株価を参考にして決めますが、新規株式公開の場合には、その企業の実力や将来性、相場の状況等を見ながら決めることになります。

 公開価格はいくつかのプロセスを経て決定しますが、一般に次のような流れになります。

 ■価格決定の流れ

@主幹事証券が参考価格を決定する
 主幹事証券が、発行会社と類似する業種の公開会社のPERをはじめ、成長性・資産内容・業績予想等を勘案して参考価格を決定します。
A機関投資家等への聞き取り
 機関投資家等へのヒアリングの為、機関投資家を個別に発行会社の社長自らが訪問し、会社内容の説明を行います。
B仮条件の決定
 ヒアリングの結果を考慮し、主幹事証券が発行会社との協議後、投資家へ提示する仮条件を決定します。
 仮条件は25万円〜30万円というように幅を持たせます。
C公開価格の決定
 機関投資家や個人投資家を対象に、需要の申告を受付し、提示された需要を主幹事証券が各価格帯ごとに集計を行います。(これをブックビルディング方式といいます。)
 その集計結果を基に、その時点における株式市場の相場状況などを勘案し、発行会社と協議を行い、公開価格が決定します。

 ※これらの流れはおよそ1ヶ月程かかります。

ブックビルディング方式

 公開価格の決定方法には、ブックビルディング方式(需要積上方式)と入札方式の2通りがあります。
 平成元年4月に導入された入札方式ついては、一般投資家による入札結果にもとづき公開価格が決定されることから、価格が高くなりやすく公開後株価下落し、株式の円滑な流通に支障をきたす等の問題点が指摘されることとなり、平成9年9月にブックビルディング方式が導入されることとなりました。このどちらの方式を採用するかの選択は可能ですが、ブックビルディングが導入されて以降、入札方式を実施した銘柄は1社のみです。

ブックビルディング方式 入札方式
・仮条件の範囲内で需要を聞き取り、その結果から価格を決定する
・投資家による価格の提示と新規公開株の取得申込みとは別になる
・証券会社の預かり資産や手数料額に応じ特定顧客を優遇して抽選、一部は条件無しで抽選し分配する
・財務内容などが似た会社を参考に下限価格のみを設定して入札する
・入札価格の提示が申し込みを兼ねる
・高い価格から優先して落札できる

初値

 企業が新規株式公開(IPO)をする際に、市場で初めて付いた株価を『初値』といいます。証券取引所が売買の参考価格となる『気配値』を示しながら取引し、売買が成立した時の価格が初値となります。

 例えば、公開価格が30万円の場合、買い注文の株数が売り注文の株数を上回っている場合、取引所は原則10分おきに気配値を引き上げていきます。そして気配値が50万円の時点で、買い注文と売り注文の株数が一致し、売買が成立したならば、その価格(50万円)が『初値』となります。
 気配値は公開価格で始まり、その後は順次取引所が売買注文などを考慮し設定します。例えばジャスダック証券取引所では、気配値の上限を公開価格の3倍、下限を原則1/2と定めています。上場初日に初値が付かない場合は、二日目以降は前日の最終の気配値から取引が始まります。

参考:【株式上場実務Navi】IPO専門家が語る[公募価格]

公開価格.ブックビルディング上場申請.審査

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